ネットのパラドクスを見極めろ

とある調査によると、P2P を使って映画をダウンロードする人は、実は映画にもっともお金を使う熱心な映画ファンなのだそうです。これは数日前のこのブログに書いたことです。違法行為を行っていると映画産業が指弾する人々が、なんと映画産業を支えるいちばんコアなファンだった、というわけです。

EMI の Chief Operating Officer だった Douglas C. Merrill 氏は音楽産業に於いても、P2P の利用者が最大の顧客であるという調査結果が出ていることを明かしました。最初に述べた調査は、映画産業にとって都合の悪い結果が出たと言うことで調査を依頼した会社によって握りつぶされたようですが、Merrill 氏の言葉は今月二十五日、シドニーで行われた CA Expo の基調講演のなかで言われました。(こちらの記事です。)

彼はこの事実を EMI にいるあいだに行ったプロファイリング調査で確かめたそうです。伝えられている Merrill 氏の言葉をひろってみます。

「ファイル共有ソフトの利用者を訴えるのは、顧客に泥をなげつけ石鹸を売ろうとするようなものだ。」

「P2P を使うのは泥棒行為じゃない。こっちが P2P を使って try-before-you-buy 式のマーケティング作戦をやっているのだと考えるべきだ。しかもこっちはそのマーケティング作戦に一文も使っていないんだ。」

「たとえば、ファイル共有は実際アーティストにとってよいということを示すデータがある。アーティストにとっちゃ悪くないんだよ。だからなにがなんでもファイル共有をやめさせるというのはまずいんじゃないかと思うよ。」

「どうやら破壊的な海賊行為がある一方で、べつにかまわないという場合もあるということをデータは示していると思う。われわれはどういう場合がよくて、どういう場合が悪いかを理解しなければならない。ファンを訴えるのがいい作戦とは思えないんだが。」

常識的な発言ですね。いやいや、わたしは海賊行為がいいなんて言っちゃいませんよ。そうじゃなくて今ある仕組みを使ってもっともうけるやり方がある、そのやり方をなぜ研究しないのか、と言っているのです。ネットとには、そしてネット上におけるマーケティングには、まだまだはっきり分らない部分があるのです。意外なところを押すことで意外な結果が得られる、そういう面白いものであるからこそ、そこには innovation のチャンスもある。

記事によると Merrill 氏は一年足らずで EMI を追出されたとか。ははあ、EMI は調査を握りつぶしただけでなく、調査をした人間まで処分してしまいましたか。

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