no more public domain day...in Japan

ずいぶん以前にわたしが青空文庫のフォーラムにパブリック・ドメイン・デイのことを書いたら、青空文庫の人がやたらと感激して、さっそく一月一日をお祝いするようになりました。その年にパブリック・ドメイン入りした著作を集めて一月一日に公開していますよね。あれです。世界中でパブリック・ドメイン・デイをお祝いする行事が行われているのに、日本だけ何もしていないのはおかしいと思ってわたしが投稿した文章がきっかけとなり、青空文庫もようやくひとつ世界レベルに追い着いた。いいことです。

しかしAPの報道によると野田総理はTPP交渉に参加する意向を示したとのこと。TPPに入れば日本の著作権保護期間は七十年か「それ以上」に延長されますから、TPPが締結してからおそらく四年以内に青空文庫はパブリック・ドメイン・デイを祝えなくなるはずです。それが二十年「以上」つづくのですよ。

そういう重大なニュースだということが、日本の人にはわかっているんでしょうか。

アメリカの著作権法はミッキー・マウス法とも称されるように、業界の利益のために著作権の権利期間がどんどん延長されてきました。もしもアメリカの著作権保護期間がふたたび延びることがあれば、TPP参加国もそれに歩調をあわせなければならなくなるでしょう。そうしなければISD条項を使って、アメリカの企業が国家を訴えてくる。御存知のようにこの訴えを処理する国際投資紛争解決センター(ICSID)はアメリカ寄りの組織ですから、アメリカの企業ははじめから有利な立場に立っています。しかもアメリカは知財に関してはすさまじいほど強硬な姿勢を取っている。この訴えを退けることは不可能と考えるべきでしょう。いや、日本の政治家や官僚などは、アメリカの企業が睨みを利かしただけでふるえあがり、彼らの意に沿うように政策を取り上げたり、取りやめたりするでしょう。日本の官僚はACTA交渉でアメリカの提案に目を輝かせて聞き入っていたから、ふるえあがるどころか、驚喜するかな。

しかし今後日本が国民の健康や、生活の利便をはかるための法制度を作ろうとしても、まず、それがTPPのもとで可能かどうかを考えなければならない、つまりアメリカの企業の利益に抵触しないか考えなければならないようになるでしょう。そして抵触する場合は、国民の安全、健康、利便を犠牲にしなければならないことになるのです。これはカナダやオーストラリアですでに現実に起きていることです。

著作権の保護期間が延びるだけでなく、一般消費者が作品を使う使い方にもいろいろ問題が出て来ます。なぜなら知財保護のためにアメリカはきびしい規制を求めてくるからです。たとえばDRMのかかっているDVDを個人利用のためにリッピングすることは禁止されます。今まで私的に使うためのコピーであれば許されていたものが、犯罪行為と見なされるようになる。この法案はすでに日本で議論されているらしいから、TPPに入れば、必ず実現するでしょうね。

また、アメリカの企業、あるいは企業にやとわれた法律事務所が違法ダウンロードを理由に大勢の一般の日本人に対して訴訟をおこすでしょう。これももうアメリカではすでに起きていることです。お店で音楽CDを万引きすれば罰金が科せられますが、違法ダウンロードに対してはそれの何倍、何十倍の賠償金が請求されます。

こうしたことに関してはアメリカの Protect-IP とかミレニアム法を調べて見て下さい。いやになるようなことが山ほど書かれている。しかももっといやになるのは、それらが確実に日本の将来の現実だということです。TPPにはこうしたことがセットでつけられているのです。

ヴォーカロイドのファンとしても気がかりなことがあります。ヴォーカロイドはいまでこそCGMとして消費者が曲や歌詞や動画を自由に作る権利を持っていますが、TPPに加入した場合は、はたしてそんな自由がいつまでつづくのか。二次創作が不可能になる可能性は充分にある。
Profile

tkaoru

Author:tkaoru
Welcome to FC2!

Latest journals
Latest comments
Latest trackbacks
Monthly archive
Category
Search form
Display RSS link.
Link
Friend request form

Want to be friends with this user.