アマゾン 本の貸し出しを認める

米国ではキンドルの本が他人に貸してもいいことになったようですね。ただし一タイトルにつき、一回だけ。期間は二週間。また貸し手は借り手にメールを送ることになるのだけれど、借り手はこのメールが到着してから一週間以内に送られたタイトルを受領しなければなりません。図書館のシステムとよく似ています。

このニュースが出てからあっという間に、それこそ24時間以内に Lending Club、つまりキンドルで本の貸し借りをするコミュニティが複数できあがりました。The Digital Reader の Chris Walters さんの記事によると四つはできているらしい。

こういう貸し借りのシステムは出版社や作者によっては反発が予想されます。そこで貸し出しがいやなら、このシステムから自分の本をはずすこともできるようになっているのですが(オプト・アウトですね。すべての本は原則として最初はオプト・インされることになっています)、しかしこれは売上の35%を印税として受け取るという契約をしている人・会社のみ。70%を受け取ると契約している人・会社には適用されません。彼らはきびしい選択を迫られることになります。すなわち、35%の印税を受け取る契約に乗り換えるか、貸し出しシステムを受け入れるか、どちらかしかないのです。

面白い本を読んだら人に紹介したくなる、というのは人間の本能みたいなもので、それがあるから文化は広まるし深められてもいくのです。だから今回アマゾンが作ったような貸し借りのシステムは図書館と同じくらい大切な考え方。だいたい紙の本は家族で読み回しするじゃないですか。電子書籍でそれができないというのはおかしなことです。わたしはアマゾンや Nook などが貸し出しのシステムを作ったことを評価します。

ただし、自己出版を考えているわたしとしてはアマゾンが勝手に出版契約の内容を変えることには疑問があります。貸し出しシステムは大いに結構ですが、その他の点で急に契約を変えられては困ることが出てきはしまいか。契約は契約を結ぶ両者のよってたつ公平な基盤ですが、それが一方の側の恣意によって変更可能となると、公平性が担保されないことになる。

epub3 の仕様が来年五月に出来上がり、そこでは日本語レイアウトもきっちりサポートされるらしいですね。わたしは epub がアマゾンに採用されるのは時間の問題と見ています。なにしろ中国、韓国、日本のアジア三大マーケットが縦書きを使用しますから、アマゾンといえどもこれを無視することはできない。そして epub3 が出れば上記三大マーケットにおいても自己出版が本格的に始動するはずです。そのときインディ系の作者たちが安心して本を出せるように、アマゾンはしっかりした契約を提示していただきたい。そして変更があるときはその変更の理由や過程を透明なものにしていただきたい。今回の変更についていえば、Chris Walters さんが別の記事で指摘しているように、なぜアマゾンは貸し出しシステムに参加(オプト・イン)する権利を作者に与えるのではなく、オプト・アウトの権利のみを与えることにしたのか。

電子書籍ビジネスはまだ生まれたばかりで、契約にさまざまな微調整をほどこさなければならないことは充分承知しているけれども、そのプロセスを明示することは作者に安心感を与えるだけでなく、読者のアマゾンに対する信頼感をも向上させるはずです。
Profile

tkaoru

Author:tkaoru
Welcome to FC2!

Latest journals
Latest comments
Latest trackbacks
Monthly archive
Category
Search form
Display RSS link.
Link
Friend request form

Want to be friends with this user.