書籍とPiracy

Electronic Frontier Foundation のウエッブページに Adrian Johns 著 Piracy: The Intellectual Property Wars from Gutenberg to Gates の書評が出ています。記事は本の最後の方にある一節を引用しているのですが、それが面白かった。こんな内容です。

書籍の海賊行為が拡大するにつれ、それに対抗する産業があらわれだした。二十世紀にも個別の団体や産業が海賊行為に対抗する動きはあったが、それらはひとつの大義で結ばれてはいなかった。しかし今は彼らはひとつになっている。……海賊行為を取り締まるこうした活動は、海賊行為のみならず、社会のさまざまな側面に影響を与えることがある。


これを受けて評者は

これが正しいとすると(そして正しいようにわたしには思えるが)、「知的財産を守る産業」に反対することは、「知的財産」に反対することと同じではないことになる。むしろ、それは市民的自由や、プライヴァシーや自主性といった価値を強調し、反海賊行為を唱える連中にそれらの価値を踏みにじらせないことである。


と言っています。

これは大切な視点で、わたしが ACTA に懸念を感じるのは、まさに海賊行為だけでなく、そのほかの自由や権利まで制限や侵害されるのではないかと考えるからです。ネットという新しいメディアが登場し、力を持つようになりましたが、それにおびえを感じる人々がいろいろな制限を加えようとしてくる。日本でもこのほど放送改正法が強行採決で衆議院を通過しましたが、これなどもインターネットに規制を加えかねない悪法です。権力や産業側は、なんだかんだいいながら、あらゆる機会を利用して、自分たちの権限を拡大し、市民の側の価値を縮小させようとしてきます。海賊行為はたしかにまずいのだけれども、その取り締りで問題となっていることは必ずしも海賊行為そのものだけではないということ、これは忘れてはならないと思います。
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